書名 GO
著者 金城 一紀 (かねしろ かずき)
発行 角川文庫 (2007年) 238頁
定価 本体520円(税別)
こういう「暗闇」を知っておくのも悪くない。暗闇を知らない奴に光の明るさは語れないからな。でも、おまえのお気に入りのニーチェが言ってるぞ、「誰であれ、怪物と戦う者は、その過程においてみずからが怪物にならぬよう注意すべきである。長いあいだ奈落(ならく)をのぞきこんでいると、奈落もまたこちらをのぞきこむものだ」ってな。だから、気をつけろよ。
<作品紹介>
在日韓国籍の男子高校生「僕」が語る、著者自身の生い立ちが元の半自伝小説。デビュー作で、第123回直木賞を受賞した。映画化(行定勲監督、宮藤官九郎脚本、窪塚洋介・柴咲コウ出演)にもなり、また、ヤングチャンピオンにも漫画化(近藤佳文作画)されている。民族差別という深い問題を扱っているにもかかわらず、高校生の友情や恋愛も絡めていて、のびのびとした爽やかさが感じられる作品。
<もう一言>
ジャンルは青春恋愛小説。元プロボクサーの父親から喧嘩を教え込まれた主人公はめっぽう強く、洋楽や映画・文学作品のコアなタイトルも随所に列挙され、読者が引き込まれる要素が散りばめられています。その一方、熱い友情と恋愛のストーリーだと思っていたのに、意表を突く展開が仕掛けられていて、途中から目が離せられなくなってしまいました。
ちなみに、V6の岡田准一主演のドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」の脚本は、著者が手掛けたものです。