書名 トリツカレ男
著者 いしいしんじ
発行 新潮文庫 (2006年) 160頁
定価 本体430円(税別)
「そのいち。氷の上の私たちは、いつかきっと転ぶ。」
「そのに。転ぶまではひたすら懸命に前へ前へとすべる。」
「そのさん。転ぶとき、転ぶその瞬間には、自分にとって、いちばん大事なひとのことを思う。そのひとの名前を呼ぶ。そうすれば転んでも大けがはしない。そうして転ぶことはけしてむだなことじゃない。」
<作品紹介>
何かに夢中になることは、恥ずかしいことではない。たとえ周囲から理解されなくても、とことん夢中になったことは、あとで必ず自分のためになる。人の役に立つことだってある。そういう勇気(?)を教えてくれるラブストーリー。
<もう一言>
とても薄い本なのに、なかなか読み終わりません。幼児向けの作品でもないのに、ひらがなが多くて、さらに、行間からはたくさんの情景が想像されます。誰かに薦めたいけど、この本の良さはきっと自分にしかわからない。そう錯覚してしまいそうな作品です。若い時に読みたかったな。