書名 田村はまだか
著者 朝倉 かすみ (あさくら かすみ)
発行 光文社文庫 (2010年) 295頁
定価 本体571円(税別)
「どうせ小便するからって、おまえ、水、のまないか? どうせうんこになるからって、おまえ、もの、くわないか? 喉、渇かないか? 腹、すかないか? 水やくいものは、小便やうんこになるだけか?」
<作品紹介>
ススキノのバーで、小学校時代の同級生(田村)を待つ男女5人の物語。40歳の大人になった各々の人生が、知らぬところで関わりあっていることに、誰も気づかず話が進行する。第30回吉川英治文学新人賞受賞作。浅田次郎、高橋克彦、伊集院静、宮部みゆき、大沢在昌など名だたる作家が選評を寄せている。著者は北海道生まれ。札幌手稲高校→北海道武蔵女子短大を卒業。
<もう一言>
はっきり言って、大人のエンタテインメント小説と思いました。危うい描写もあちこちにあり、高校生に薦めてよいものかと、迷いながら我慢しながらの読書が続きました。しかし、200頁を超えたあたりから、突然ストーリーが急加速します。思わず引き込まれてしまい、読み終えたあとは、読書の幅が広がった自分に気づきます。
学校に通うことって、「田村」に出会うことだったのか…。共通する読後感になるでしょう。